• SETA

    「16」
  • キスしてくれてありがとう

    キスしてくれてありがとう

    今年はじめて焼かれた肌に乗せたオレンジ 君との思い出ありがとうキスしてくれてずっと抱えて生きてきたこととても自然に 君にはいえたありがとう笑ってくれて風がいま背中を押している一生こうしていようよひとりじゃなけりゃ出来たこと全部君としたいからゆっくりでいいな それがいいよな小さなことでくよくよしちゃうわたしと違って 君は...
  • 同級生だった

    同級生だった

    失望だけはさせまいと丁寧に巻き上げた髪左に傾いたヒールも今日は履きこなせてるみたい中央東口改札を抜けて数年ぶりの再会へ急ぐ左手あげたら 交わるその瞳黄色い点滅が光ったああ変わらないその声 笑い顔時々混ざる故郷の言葉あの頃に引き戻されてく 苦しくなるああどうしてまた戻ろうとするんだろうわからないふりをしながら わたしたち...
  • 30歳までひとりだったら

    30歳までひとりだったら

    巻き続けたオルゴールって最後はどうなるんだろうね止まらないことよりも壊れないことの方が大事ね過ぎ去っていった人たちを残念だったねと笑い合えるにははじまることよりもはじまらないことの方が大事ね逆光の中シルエットだけで君だとわかる 私の親友私の相棒 私の何か「30歳までひとりだったら結婚しようね」揺れて 跳ねた心はきっと友...
  • 15センチの花束

    15センチの花束

    わたしの人生を束ねたら下手くそなモザイクみたいだな小田急線沿いの花屋にて控えめにってお願いした直径15センチの花束直径15センチの花束花束と身を寄せ合って3番ホームを歩いてた満員電車のドアが開く潰されそうで見送った直径15センチの花束直径15センチの花束「まもなく電車が参ります」「黄色い線まで下がってください」これ以上...
  • さくら前夜

    さくら前夜

    一年なんて秒だったよなトイレに飾ったカレンダーは夏の終わりで止まったまま 春が動き出そうとしてんのにな僕は何周目かの人生を持て余すの「協調性が足りないようです。落ち着きもないようで。」通信簿に油性ペンで書かれてた文字をいつか消してさくら、いまさら魅せるのは 捨てたはずのがんじがらまった夢の跡さくら、うらはら誘うのは 僕...
  • 鬼の子

    鬼の子

    東京は入り口で迷うからそりゃないよ あぶないよ一生寄り道できる街だから下手こきそうで 泣きそうやそんな時に向こうの路地裏でひとだかりよりかかり、、、いれて、それ混ぜて武器は持ってないから嫌わないでよ一緒に遊ぼう楽しそうに見えたみんなの輪の中にはひとりぼっちの鬼の子「にえたかどうだか食べてみよう」東京は他人ばかり目立つか...
  • ひとりごはん

    ひとりごはん

    わかめが増えたら水かけて 豆腐は真ん中で分けましょう沸かした鍋に顆粒だしとすべて すべて 入れてしまいましょう今日はつくづく疲れたよ味噌汁ぐつぐつ煮えるよ一人前の夕ご飯にいただきますってお辞儀してごちそうさまの独り言がねわたしの心を突き抜けて遠い故郷へ駆けていく昨日の豆腐を取り出してキムチと納豆をかけましょうササミも並...
  • 世界に

    世界に

    コーヒーだけでひとしきり話した喫茶店でさ小数点以下の割り勘彼女が多く払った「もう大丈夫だから」って痛そうに笑った会計あとでもらった飴舐めてどこへ行こうもうあそこの街もこの前行ったし「わたしの傘に入って」ここじゃないところへ行こう 行こう 行こう 行こう環七通りに ぶつかるまではさ君に起きた嫌なことぜんぶを当たり前にしな...
  • 月下

    月下

    波打ち際に捨てた2人の靴だけはいつか自由の国たどり着いて欲しい満月に向かって歩みを止めないで月だけが 2人の愛を認めてくれるいつかわたしもそんな愛に堕ちて行くのだろう三日月 三日月わたしは、愛を知らない三日月 三日月片方を探している何もかも壊れるほど何もかも差し出すほど馬鹿になりたい月の下白いショートケーキに誇らしげに...
  • しあわせのあと

    しあわせのあと

    雨上がりの空に飛行機雲が迷いのない一筆書き夢とあたしを天秤にかけて君は遠くへ行ってしまった笑顔で見送ってほしいって贅沢ばっか言わないでよ君との未来があたしの夢だったの大きさじゃ君の夢に敵わないね だから滑走路 走るのは別々のしあわせのあと展望デッキに赤い色の傘を身代わりにして逃げてきたんだ「ありがとう」って「さよなら」...
  • 東京かわい区想像通り

    東京かわい区想像通り

    言ってよ 君は特別だって嘘 重ね塗りのルージュ傷つきたくはないけど 本当は期待したいよ脳内でだるま落としいいね それいいね軽いな ああ東京かわい区想像通り 教科書通り想像は塗り絵みたい 縁取りデッドラインを越えたら 抜け出せるかな簡単に流されちゃってただ かわいそう腹凹まして登場オフィシャルはあなたを常に翻弄不埒な重荷...
  • 夏の恥まり

    夏の恥まり

    夏の始まりは少し解けたポニーテール気を抜いちゃだめさみんなに置いてかれるから雨が叩くのはあたしの小さなプライドさできやしないのに強がった夏の恥まりこんなことをみんな乗り越えてきたのかな?急げ急げとうるさくて靴の踵を踏んで走り出すんだ恥ずかしくないはずがない梅雨が明けてしまう前に賢く賢くならなくちゃ鼻のニキビも早く治さな...
  • あと一ミリ足りない人生 ~音ドラマ「東京地下2階」バージョン~

    あと一ミリ足りない人生 ~音ドラマ「東京地下2階」バージョン~

    産毛を立てた彼女裂けそうな瞳を転がし涙が落ちるのを望んでいた賢く生き延びるのよ母はいつも叱った彼女は優しさと愚かさを測れない毒だらけの世界は悲しいけど愛だらけの世界も疎ましいあゝあゝ されるがままの彼女はいとおかし大人になったとしても足りないこの隙間を彼女はあの時もう知っていた無駄に与え続けては見返りは求めずに何かが弾...
  • カーネーション

    カーネーション

    あなたの指のささくれにカーネーションまっすぐな道ではなかった お疲れさんあなたの勇敢な背中にカーネーション怒りも愛に変えたんだ あなたは宝物みたいに笑うんだ母さん あなたは桃色の空ほっぺに咲いた薄紅の花をしぼまないように守りたいんだあなたに習った守り方であたしもいつか貰うかなカーネーションそしたらあの日の涙がわかるよね...
  • しかくい涙

    しかくい涙

    まぁるいものが好きよ使い古した消しゴムみたいなまぁるいものが好き四角いままは嫌よ喉につかえたサイコロみたいな四角いままは嫌い理想の自分は 誰なんだ?体の中で渋滞している しかくい涙がチクチクリそんなふうに時は過ぎてく強がっても止まらない 頑張っても戻せない強がっても止まらない 頑張っても戻せない転がるものが好きよ風に吹...
  • ありがとう

    ありがとう

    ありがとう、と伝えたかったんだ真っ直ぐに生き続けることで過去に戻れないけど私不器用だけどあなたは私の光だ私は嘘つきなのにあなたは私を素直だと言うんだこんな私を宝物だと何度も強く抱きしめてくれた自分を大切にできないこと理由も 聞かなかったねその目に涙溜まるのを見て辛くなった与え続け少し小さくなったあなたを今度はそう私の番...