• こおり健太

    「44」
  • 裏町蛍

    裏町蛍

    寂しくて 寂しくてひとりが 寂しくて鳴けない蛍も なみだを流しますこの世で添えない 仲でもいいのいのち火 なさけ火 恋火(こいび)を灯すわたしは蛍 裏町蛍逢いたくて 逢いたくて今すぐ 逢いたくて紅筆(べにふで)持つ手が 愛しい名をつづる水さえ甘いと おしえた人にこがれ火 なさけ火 恋火を灯す飛べない蛍 裏町蛍恋しくて ...
  • 小樽…ひとり旅

    小樽…ひとり旅

    小樽 蘭島(らんしま) ひとり旅強い女で いたいけど砂に刻んだ… 約束は…波に消されて 今では遠くどうせ返らぬ 恋ならばあぁ あぁ 小樽運河に捨てますか小樽 銭函(ぜにばこ) ひとり旅潮まつりに 燃えた夜あの日のように… 抱きしめて…思い出宿に 灯りをともす二度と逢えない さだめならあぁ あぁ 小樽運河に捨てますか小樽...
  • 紅い花

    紅い花

    昨日の夢を 追いかけて今夜もひとり ざわめきに遊ぶ昔の自分がなつかしくなり 酒をあおる騒いで飲んで いるうちにこんなにはやく 時は過ぎるのか琥珀のグラスに浮かんで消える 虹色の夢紅い花想いを込めて ささげた恋唄あの日あの頃は 今どこにいつか消えた 夢ひとつ悩んだあとの 苦笑いくやんでみても 時は戻らない疲れた自分が愛し...
  • 女 泣き砂 日本海

    女 泣き砂 日本海

    宿の枕が固過ぎて眠りも浅く 夢も見ず遠いあなたを 恋しがるだけつらい 夜でした女ひとりの 旅の朝ふらり歩けば 日本海砂が泣くことを知っていますかキュッキュ キュッキュと 泣くのですあなた恋しと呼ぶのです海に嵐が吹き荒れて季節が冬に 色を変え砂のおもても どこか蒼ざめ寒い 朝でした女ひとりの もの想い心揺るがす 日本海砂...
  • 肥後の盆

    肥後の盆

    金と銀との 金燈籠(かなとうろう)あなた呼んでる よへほ節逢いたくて 逢えなくて笑顔の写真 見つめて呑んでひとり芝居で 恨み言山鹿(やまが)恋歌 肥後の盆いつか帰って 来るようであなた待ってる 窓明かり逢いたくて 逢えなくて泣いてるわたし 叱って欲しいひとりぼっちに させないで山鹿恋歌 肥後の盆たどりつけない 面影が千...
  • 夢・種まき音頭

    夢・種まき音頭

    夢追い人は いつの日か花を咲かせて 実をつける人の出会いを 大切に今日の命に 感謝してそうそう 今だよ 今なんだ夢の種まき... 夢の種まき...さあさあ皆(みんな)で エンヤコラ手と手繋いで ソ~レソレ一つや二つ 逃してもモノにするのさ 三つ目は笑顔忘れず 前を向き地に足つけて 焦らずにいよいよ 始まる 始まるよ夢の...
  • 恋は上機嫌

    恋は上機嫌

    君に出逢った あの日から胸がさわいで ときめいて恋は突然 前ぶれもなくこんな気持ち ずっとずっと忘れてた君を想えば 逢いたくて見上げる夜空(そら)に 星明かり名前を呼べば 嬉しくて恋はいつでも 恋は上機嫌君のはにかむ 笑い顔きっといつかは ひとりじめ打ち明けたなら 嫌われそうで今の気持ち ずっとずっと言えなくて君を想え...
  • しろつめ草

    しろつめ草

    雨に打たれて 道端に咲くしろつめ草の 小さな姿つらい噂に 泣かされて越えてきました 二人してようやく咲いた 幸せの白い花誰も知らない 遠くの町で静かな暮らし 夢見た私逢えぬ淋しさ みじめさにあなた怨んだ 夜もあるようやく咲いた 幸せの白い花きっとあなたと はぐれぬようにしろつめ草の 四つ葉に祈る無駄じゃなかった 泣いた...
  • ふるさとの駅

    ふるさとの駅

    あなたの想いに 背を向けて捨てる覚悟で 家を出たそんな息子(こども)が ここにいる夕陽に伸びた 僕の影本当は踏んで いたかったはず交わす言葉も 見つからなくて時計ばかりを 見返す父にここでいいよと 突き放すコスモス揺れる ふるさとの駅いつでも帰って 来なさいと目も合わせずに 語る父迫る別れを 急かすベル時代の波に 耐え...
  • 忘れ針

    忘れ針

    出直すための 二人の旅に仕立てたあの日の 夢紬(ゆめつむぎ)ひとりで片袖 通すたび襟元あたりが ちくりと痛い貴方が残した 傷かしらいいえ 未練という名の 忘れ針繕(つくろ)えなかった 努めてみても二人の間の ほころびは何度も縫っては みたけれどその度解(ほつ)れて 広がるばかり男と女の 夢違いそうね あの日の空しい 針...
  • 女の意地

    こんなに別れが 苦しいものなら二度と恋など したくはないわ忘れられない あのひとだけど別れにゃならない 女の意地なの二度と逢うまい 別れた人に逢えば未練の 泪をさそう夜風つめたく まぶたにしみて女心ははかなく 哀しい想い出すまい 別れた人を女心は 頼りないのよ涙こらえて 夜空を仰げばまたたく星が にじんでこぼれた...
  • 花言葉

    春はひだまり かくれんぼ僕の手を引き 母さんが指差すかわいい花だったすみれ すみれ 花言葉は「ほほえみ」すみれ すみれ 君に笑顔あげたい夏は夕立 蝉時雨僕を励まし 父さんが庭先見つめた花だったひまわり ひまわり 花言葉は「頑張れ!」ひまわり ひまわり 明日元気になあれ秋は黄昏 散歩道僕に手を振る 女の子似ているやさしい...
  • 夫婦坂

    この坂を 越えたならしあわせが 待っているそんなことばを 信じて越えた七坂 四十路坂いいの いいのよ あなたとふたり冬の木枯し 笑顔で耐えりゃ春の陽も射す 夫婦坂女なら 花ならば咲くときも 散るときも見ててほしいの あなたに宿命あずけて 暮らしたいいいの いいのよ 一間の部屋であなた待ってる 雪割草もいつか芽をふく 夫...
  • 礼文宿

    後悔ばかりが 胸をさすおもかげ探す 北の旅暗く広がる 静かな海は寂しすぎます 船泊(ふなどまり)窓を叩いて ほしいのに月の灯りが ほしいのに夜霧に浮かぶ 漁り火よ何処へ向かうの 私をおいて迎えに来てよ… 迎えに来てよ… 礼文宿子守のウミネコ 指さして夢見たあの日 嘘ですか夕陽が沈む 澄海岬(すかいみさき)で遠くを見つめ...
  • しあわせの場所

    しあわせの場所

    走ってばかりの 毎日じゃきれいな花にも 気づかないいつも上手に しあわせはかくれんぼたまにはゆっくり 歩こうかいつだって いつだってあなたと歌えば やさしくなれる誰よりも 誰よりもあなたのエールが 勇気をくれる欲張りすぎれば 逃げてゆく一緒に探せば そこにいる付いて離れて しあわせはおにごっこ泣きたいときには 泣けばい...
  • 乗換駅

    乗換駅

    ほんのひと駅 ふた駅の短い旅で いいのです別れが辛く なるくせにわがまま言って 先延ばし乗換駅へ 着いたなら無理を言わずに 戻ります隣り合わせに 座れても他人の振りを 通します世間を忍ぶ 恋だからいつしか付いた 癖ひとつ乗換駅に 着くまでは肩にください ぬくもりを前は良かった やさしさが今では憎く なるのです涙の整理 ...
  • 初恋夜曲

    初恋夜曲

    初恋は清き流れの 水のごといつも心に 淀みを知らず風のまにまに ひとり偲ばんあぁ あのひとは 今いずこしまい湯の母の黒髪 洗い髪若き姿に 重なるひとよ同じ旅路を いつか歩まんあぁ あのひとも 母なりて夕去りて返り来ぬ夢 数知れず同じ道なし 男と女同じ痛みに ひとり祈らんあぁ あのひとに 幸あれとあぁ あのひとに 幸あれ...
  • 冬椿

    冬椿

    雪の重さを 弾く音あれは椿の 吐息でしょうかいいのいいのよ 誰よりも愛されたくって 待つ女あなた慕って 紅く咲く好きよこの花 冬椿写る女の 宿鏡髪はみどりに 花くれないにいいのいいのよ あなただけ困らせないわと ひとり言身体まるごと 耳にして紅を走らす 冬椿時をしずかに 刻む音あなた迎えに 小走る私いいのいいのよ 耐え...
  • 雨に咲く花

    雨に咲く花

    およばぬことと 諦めましただけど恋しい あの人よ儘になるなら いま一度ひと目だけでも 逢いたいの別れた人を 思えばかなし呼んでみたとて 遠い空雨に打たれて 泣いている花がわたしの 恋かしらはかない夢に すぎないけれど忘れられない あの人よ空に涙の セレナーデひとり泣くのよ むせぶのよひとり泣くのよ むせぶのよ...
  • 噂の女

    噂の女

    女心の 悲しさなんてわかりゃしないわ 世間の人に止して 止してよ なぐさめなんか嘘と涙の しみついたどうせ私は 噂の女はなさないでと 甘える指に男心は いつでも遠いそうよ そうなの 昨日の夜もすがりつきたい あの人に夢を消された 噂の女街の噂に 追われて泣けば褪(あ)せてみえます くちびるさえもつらい つらいわ つめた...