• 幸田薫

    「2」
  • 想い出はたそがれ色

    想い出はたそがれ色

    こぼれたお酒を指先でなぞってあなたの名を書けば色のあせた映画のよに あの頃が心よぎります露地裏 アパート たそがれあかり裏窓 面影 影法師出来るなら もう一度 ふたりでやり直したかった顔のほてりを写してる花瓶の中には沈丁花そう云えば垣根ごしに におってた花は沈丁花軒先 風鈴 はだか電球雨だれ くちづけ 洗い髪手の平にの...
  • 愛のゆくえ

    愛のゆくえ

    一つめの秋 見送る頃はお酒の味も 覚えたわ銀杏並木が 裸になって別れのときを 知ったから愛はいつか 色あせて散ってゆくのね 散ってゆくのねはかないものね二つめの冬 迎えた頃はなみだにくれて いたのです白くかぼそく 降る雪さえも無情に折るわ 枯れ枝を愛はいつか 音たてて崩れ去るのね 崩れ去るのねせつないものね三つめの春 ...