• 拝郷メイコ

    「18」
  • 浜辺の歌

    浜辺の歌

    あした浜辺を さまよえば昔のことぞ 忍ばるる風の音よ 雲のさまよ寄する波も 貝の色もゆうべ浜辺を もとおれば昔の人ぞ 忍ばるる寄する波よ 返す波よ月の色も 星のかげもはやちたちまち 波を吹き赤裳のすそぞ ぬれもせじやみし我は すべていえて浜辺の真砂 まなごいまは...
  • 世界の約束

    世界の約束

    涙の奥に ゆらぐほほえみは時の始めからの 世界の約束いまは一人でも二人の昨日から今日は生まれきらめく初めて会った日のように思い出のうちにあなたはいないそよかぜとなって頬に触れてくる木漏れ日の午後の 別れのあとも決して終わらない 世界の約束いまは一人でも明日は限りないあなたが教えてくれた夜にひそむやさしさ思い出のうちにあ...
  • ルージュの伝言

    ルージュの伝言

    あのひとの ママに会うために今、ひとり 列車に乗ったのたそがれせまる 街並や 車の流れ横目で追い越してあのひとは もう気づくころよバスルームに ルージュの伝言浮気な恋を はやくあきらめないかぎり家には帰らない不安な気持ちを残したまま街はDing-Dong遠ざかってゆくわ明日の朝 ママから電話でしかってもらうわ My D...
  • どれどれの唄

    どれどれの唄

    お花が咲いたよ どれどれ風が渡るよ どれどれ本当のことは どれどれ僕を動かす好奇心新しい光が 心をノックしてゆっくり目覚める 1日が始まる広い広い空の下僕ら生まれて生きる長い長いこの道も口笛ふきつつひばりが鳴いたよ どれどれ夕焼け染まるよ どれどれ大切なことは どれどれ僕を動かす好奇心変わらない光を 心に灯してゆっくり...
  • ソイトゲヨウ

    ソイトゲヨウ

    少し前を 歩いている 誰にも似ていない後ろ姿いつも通りお茶を買って アパートまで続く坂を上って降り返った君が指さしていた 夕焼けと東京がきれいだった特別じゃない 日々の途中特別なこと 思いついた夢を見よう 恋をしよう汗をかいて ちゃんと食べて うんと眠ろうソイトゲヨウ ソイトゲヨウ woo優しくしよう けんかもしよう ...
  • 赤い星

    赤い星

    群青に辿りついた空が少しずつ明日へ傾いてくカーテンの隙間から見ていたらあのこの犬ものぼってくとこ千年も繰り返されたけど私は今でもわからない赤い星 まだ眠れないの怖い夢 見るのが嫌なの迷路みたい この街の中では自分のことだけで精一杯どうしても傷つけしまうからサヨナラをする涙でいっぱい赤い星 目印にして歩いてく そしたらま...
  • ななしのおさる

    ななしのおさる

    みみみみっつ ピアスあけておくちはふくよかなタラコ唇手足はスラリと伸びておメメパッチリの可愛い娘ちゃん yeah名前はまだついてないみんないろいろ呼んでくれてるのやがてくるその日までベッドの上で仰向け いい娘ちゃん運命の人が現れた時にすてきな名前 つけてもらうの時々夢の中で会うちょっといかしたナイスガイおっきな手 短い...
  • メロディ

    メロディ

    形のない想いを君にただ見せたくて言葉じゃもう追いつかないだから今 抱きしめた歪めてしまわないで どうか 君はそのままでいて汚れて消えるものがいっぱい ありすぎる中きれいな君その指から 生まれる嫋やかなメロディくちずさめば ただの僕も 優しくなれる気がしたよだから僕は忘れない痛みのない場所までまだ少し歩かなくちゃ不確かな...
  • くちぶえ

    くちぶえ

    君の夢の中まで 届くように夜風に乗せた思いつきのメロディ未熟な口笛は途切れ 途切れている言葉が見つかれば君のもとへと届くようくちずさもう 澄んだ空の中でまつ毛の先で揺れてる お月様歪んでる心見透かされてしまうよきれいに響かない きれいに 響かない澄んだ空の中へ電車が 通り過ぎて 消されたメロディくちびる尖らせてもこんな...
  • サーカス

    サーカス

    たとえば君の隣で笑えることやふとした拍子に ぶつかる 夏のこの腕小さなテントの中では 忘れてしまうふたりは とうに それぞれの 場所を探して歩いてるの今はここに立ち寄ったの意味は ないのほんの少しの間の 幻みたいに季節が過ぎてしまえば 次の街へと吹かれてくようにずっと 旅をするのねここではなくふたりじゃなく誰かが待つ他...
  • 月夜

    月夜

    包まった毛布にまで 伝わってしまう心の奥のほう あたたかい合図言葉や仕草 そのひとつ ひとつ が体の奥のほう 柔らかい場所で息をするから また 眠れない夜命みたいで 優しい気持ちになる届かない こんな恋でも 守りたいんだよ痛みは往々にあって それもいいんだよ終わらない その満ち欠けの中で 泳がせて窓の向こうから 痩せた...
  • 手紙

    手紙

    手をとって 過ぎゆく“恋人どうし”ほんのちょっと 振り返る 公園どおりゆうやけの マーブル模様茜とブルーが混じるただ毎日 毎日 毎日 君のことを 想って唄うだって 愛より 恋より 何より 君と笑える 日々が欲しい遠まわり 帰り道 見つけたよあの日 見えなかった 六等星明日君に会えたらいちばんに 伝えようただ 毎日 毎日...
  • トマトスープ

    トマトスープ

    かすれた声と重ねた過去を刻み続ける 時計の針とぎれてしまう途切れてしまう 二度とここへは 帰ってこまい最後にきみが 作ってくれる台所からトマトの匂いぼくのすべてに 染みついて記憶を 揺りおこしていくだろうきみの夢も嘘もぼくのうたもこころも溶かしこんでさそのままそのまま消えそうな火で温めてともだちだ とかたいせつだ とか...
  • ブルー

    ブルー

    悲しいことに君の口をついて出てくる言葉たちは当たり障りないことにすぎず“今”を流れていきます昔の事だって笑える日が私にも訪れるの?今日より 明日この痛みがとおくなっていくのが 嫌部屋中撒き散らす 飴色の飛沫をガラス 瓶の中 無くなる程この匂いを 知っている君の腕の 甘い匂いいつまででも いつまででも私を 自由に しない...
  • 木綿

    木綿

    洗濯そうの中を のぞきこんでる午前8時だんだん 渦の中 飲み込まれてくこの瞬間少しの満足感と多くの嫌悪感で目が回っていく君の白いシャツが泡に塗れる キラリキラリ私の淡い恋が溶けてなくなる…あとかたもない程に金木犀の匂いに うっとり眠りそうな午後1時曖昧な季節ほど心地いいものもないだろうな色づく街路樹の黄色が騒めいた耳澄...
  • やさしいちから

    やさしいちから

    先に眠ったふりをしてあなたの いびき 待ってた息も たまに忘れるくらい静かな白い部屋長い時間 探してきた答えをやっと 手にできたようゆら ゆら悲しみの シャボン玉たちはじけて消えたいま こころに生まれた やさしいちからのあるだけぜんぶを あげても いいよだから寝返りでそっぽ向かないでね夢から覚めてもずっとそばに いてよ...
  • ゆうぐれ

    ゆうぐれ

    ブランコたちこぎあなたの隣でまぶたを閉じたら風の音がしたよこのままこの空は橙オレンジそしたらふたりも遊んでられるのにまた少し 大人になった証拠に寂しい時 無理に笑ってるの一日でいちばん長い影が行儀よくついてくるゆうぐれどききのうと 明日を行ったり 来たりで結局 今日のこと気付かないで いる変わらない猫背と左目の癖がこの...
  • よるのなか

    よるのなか

    みずいろの爪 上手に塗れた 小さい頃に憧れたもの大人になるのは 案外簡単で 思ったより痛くもなかったただ静かな夜を切り刻んでいく 秒針に怯えてただけ時は止まらず夏がまた来る 体だけ私からがれていく鏡の中の知らないひとが 煙草ふかして こっちを見ていた電池はずして その音を止めたら あんまり自由で眠れなかった懐しいひと ...