• 野村美菜

    「24」
  • 天文館の夜

    天文館の夜

    愛しいあなたの 面影がグラスのお酒に また浮かぶ雨に滲んだ 天文館に明日をなくした 女がひとりポツリ止まり木 夢に酔う遠くに霞んだ 桜島抱かれたあの日の 夢あかり星が降るよな 天文館でいつかおまえを 迎えに来ると小指差し出し 言ったひと港の霧笛が 胸を刺す錦江湾から 船が行く月も哀しい 天文館に追ってゆけない 女がひと...
  • 湯布院ワルツ

    湯布院ワルツ

    恋の終わりを 告げるよな鴬(うぐいす)哀し いで湯町これが最後の ふたりの旅路春もさかりの 湯布院に灯るさびしい 灯るさびしい宿あかり水に浮かんだ 花筏(はないかだ)紅く染めゆく 金鱗湖(きんりんこ)日暮れ街道 遥かな由布岳(やま)よこころ寄り添う 湯布院は辻馬車(ばしゃ)に揺られる 辻馬車(ばしゃ)に揺られるふたり道...
  • 唐津のおんな

    唐津のおんな

    涙でしょうか… そぼ降る雨は虹の松原 こころも濡れるねぇ あなた…行かないで 行かないで追えば逃げてく いとしい背中肥前唐津は 別れのみなと未練でしょうか… 女のこころ滝の流れも 細くせつないねぇ あなた…抱きしめて 抱きしめてくんち宵卑山(よいやま) ひとりの今宵肥前唐津は 夜明けが遠い逢えるでしょうか… 祈りを胸に...
  • 京都から博多まで

    京都から博多まで

    肩につめたい 小雨が重い思いきれない 未練が重い鐘が鳴る鳴る 哀れむように馬鹿な女と云うように京都から博多まで あなたを追って西へ流れて行く女二度も三度も 恋したあげくやはりあなたと 心にきめた汽車が行く行く 瀬戸内ぞいに沈む気持をふり捨てて京都から博多まで あなたを追って恋をたずねて行く女京都育ちが 博多になれて可愛...
  • 島のブルース

    島のブルース

    奄美なちかしや 蘇鉄(そてつ)のかげで泣けばゆれます サネン花ョながい黒髪 島むすめ島むすめョ愛人(かな)はいまごろ 起きてか寝てか淋しがらせる 浜千鳥ョ南風(はえ)のふく夜は ねむられぬねむられぬョ夏のおどりは 七日と七夜みんな知り候(しょ)る 月の夜ョ名瀬の港の 船がでる船がでるョ着せてみせたい 大島つむぎわすれら...
  • 島人ぬ宝

    島人ぬ宝

    僕が生まれたこの島の空を僕はどれくらい知っているんだろう輝く星も 流れる雲も名前を聞かれてもわからないでも誰より 誰よりも知っている悲しい時も 嬉しい時も何度も見上げていたこの空を教科書に書いてある事だけじゃわからない大切な物がきっとここにあるはずさそれが島人ぬ宝僕がうまれたこの島の海を僕はどれくらい知ってるんだろう汚...
  • 長崎の夜はむらさき

    長崎の夜はむらさき

    雨にしめった 讃美歌のうたが流れる 浦上川(うらかみがわ)よ忘れたいのに 忘れたいのにおもいださせる ことばかりああ 長崎 長崎の 夜はむらさき誰かあなたを 見たと言う噂話が 泣かせる波止場おもいこがれて おもいこがれて待てばやせます ひがみますああ 長崎 長崎の 夜はなみだ霧にうるんだ 眼鏡橋(めがねばし)そっとのぞ...
  • 火の国の女

    火の国の女

    肥後は火の国よ 恋の国燃える中岳(なかだけ)よ 胸こがす一つしかないこの命くれというならくれてやる熱か 熱か こころもからだも 熱か惚れた女(おなご)を抱きたけりゃ火傷(やけど)かくごで 抱かんとね 抱かんとね肥後は湯の里よ 滾(たぎ)る国菊地 地獄谷 血がさわぐたとえ地の底 針の山来いというならついてゆく熱か 熱か ...
  • 豊後水道

    豊後水道

    背のびした 恋破れなぐさめる人もなく信じていたのにあなたはもう来ないやせた女の旅路にはやさし過ぎるわ春の海こぼれ散る紅椿流れにひきこんで何を急ぐか 豊後水道この海が 銀河なら逢(お)う瀬もあるけれど近くて遥かねあなたと私には岬巡ればまた入江人の情(なさけ)に出会えそう辛口の地の酒を海辺の宿で飲み何を歌うか 豊後水道爪の...
  • 博多の夜

    博多の夜

    あなたの噂も 届かぬ夜はどこか寂しい きらめき通り行こか戻ろか 出逢い橋浮かぶ面影 探せばつらい好きよ 今でも 今でも 好きよおんな泣かせる おんな泣かせる博多の夜よ思い出ばかりが 沁みつく街を月の灯りが 優しく包む二度と戻らぬ 夏の宵祇園山笠 恋しさつのる抱いて も一度 も一度 抱いて夢も儚い 夢も儚い博多の夜よ夜風...
  • 夢路の宿

    夢路の宿

    胸に冷たい 浮世の風が絡む欄干(らんかん) 思案橋しのべば暮れる 丸山あたり今宵 焦がれて 恋の街燃えて身をやく 燃えて身をやく夢路の宿よ脆(もろ)く儚い 情けの糸を手繰り寄せれば 雨が降る出島に向かう 坂道あたり傘に寄り添う 影ふたつ濡れて切ない 濡れて切ない夢路の宿よ運命(さだめ)哀しい 別れを連れて路面電車が 鳴...
  • 伊良湖水道

    伊良湖水道

    荒れる波が 吼(ほ)える様に 岩を揺らし砕け散って 飛沫(しぶき)あげる 遠州灘(えんしゅうなだ)寄せては返す 哀しみ抱いてあの日の胸に 飛び込みたい恋路ヶ浜(こいじがはま)に 流れる涙あぁ… あなた あなた あなた行かないで 行かないで…波がさらった 愛を返して 伊良湖水道夢に破れ 闇に惑う かもめ一羽心細く 明日を...
  • 名古屋哀歌

    名古屋哀歌

    女の涙が 男にとって重荷になるなら どうして泣かす名古屋 納屋橋(なやばし) 別れの夜も理由(わけ)さえ聞かずに うなずくなんてバカね バカよね すがっていたら…夜が切ない ひとり切ない心が切ないよく似た姿を 見かけるたびに他人と気づいて 自分を嗤う名古屋 今池 ふたりで暮らす夢など見なけりゃ よかったものをバカね バ...
  • 恋ざくら

    恋ざくら

    山並み色づく 雲南(うんなん)の木次(きすき) 日登(ひのぼり) 三刀屋町(みとやちょう)ひとひら揺れて 斐伊川(ひいかわ)の水面に浮かぶ 花筏(はないかだ)あなた呼びます 恋ざくら百選桜の 並木路きずな交わした 思い出よ神話の国の 「おろち号」囀(さえず)るメジロ 見上げれば雲の切れ間に 木次線桜の命は 儚くてあなた...
  • 三瓶山

    三瓶山

    丸くそびえる あの山はふたり仲良く 夫婦峰姫逃池(ひめのがいけ)に より添って夢を誓った 想い出よああ石見路(いわみじ)の 三瓶山(さんべさん)瀬音さやけき 湯のけむりそばに佇む 子ども峰とがらず丸く 生きてくれ親の言葉を 忘れないああ凛と立つ 三瓶山雪が溶ければ 花たちが咲いて郁(いく)たる 孫の峰肩寄せあって たく...
  • 北上川

    北上川

    凍てつく夜風に 銀河も凍る孤独(ひと)りで 春待つ 石割桜みちのく 盛岡 雫石傷つきはぐれて 奥州路想い出ばかり ああ 行き過ぎる…あなた恋しい 北上川よ芭蕉の行く道 辿ればポツリ時雨れて暮れ行く 金色堂(ひかりどう)みちのく 高館 平泉ぬくもり探して 奥州路あの日のあなた ああ 夢の跡…ひとりたたずむ 北上川よ未練を...
  • 美菜の平泉音頭

    美菜の平泉音頭

    ハァ~ 花も笑顔も 咲く平泉東(あずま)下りの 練り歩き春を彩(いろど)る 平安絵巻こっちゃこ こっちゃこ美菜(みな)と一緒に 踊りましょうハァ~ 山は束稲(たばしね) 降る蝉時雨(せみしぐれ)神輿(みこし)水かけ 木遣り節夏の夜空に 送り火仰ぐこっちゃこ こっちゃこ美菜と一緒に 踊りましょうハァ~ 今は昔の 兵(つわ...
  • ほほえみ列車

    ほほえみ列車

    真っ赤な鉄橋 千曲川(ちくま)を越えてお城の町から 温泉(いでゆ)の郷へ希望と夢と 愛を運んでああ ほほえみの列車はゆくよツツジのお屋敷 唐沢の滝真田の郷にも 蛍火灯る渡ってゆこう 夢の架け橋ああ ほほえみの列車はゆくよ鹿教湯(かけゆ)を染めゆく 紅葉の錦文殊の御堂に 幸せ祈る丸窓照らす 月に唄おうああ ほほえみの列車...
  • くれないの船

    くれないの船

    上田の城に 昇る月夜を染めゆく 桜(はな)吹雪日本一(ひのもといち)の 兵(つわもの)と六文銭に 集う夢時代の波を かきわけて想い貫く 人になる明日(あす)の運命(さだめ)は 知らずとも今日を駆けゆく 舵をとる昔を映す 千曲川父の生きざま 胸に抱き後に引かない 男意気ひろい背中に 航路(みち)をみた時代の波を くぐりぬ...
  • 千曲川哀歌

    千曲川哀歌

    白い雪が舞い散る 手提げひとつ別所線未来(あす)を誓った あの日のままの 愛染かつら窓に浮かんだ面影あなたどうしていますか愛しながらも 夢は破れて今はひとり 信濃路…恋の行き止まり 未練ごころが風に千切れる 千曲川赤い傘に身を寄せ つつじ香る太郎山遠く見下ろす 真田の郷に 灯りがともる濡れた肩先 ふれあい肌に伝わる ぬ...