• 長浜有美

    「10」
  • あなたにつつまれて~お父さんへ~

    あなたにつつまれて~お父さんへ~

    どのくらい経つのだろうふと 思い出すあなたの声 香り 全てを別れぎわ 見えなくなるまで手を振ってくれた旅立ちを見送った今ずっと身近に感じますあなたがくれた温もりにつつまれて生きてゆく木漏れ日の 優しい 陽射しの中でどのくらい経つのだろうふと 目に浮かぶどんな時も 強い 父親(ひと)でしたかあさんに会えたでしょうかよかっ...
  • 黒潮カモメ

    黒潮カモメ

    産湯代わりに 黒潮浴びて赤銅色した あんたの胸に命 預けて つがい鳥あいつの嫁なら 果報者誰より 父ちゃん 喜んだあの日の 涙 忘れないしゃがれ一声 波間に響き一番舟乗る あんたを見送(おく)るあばれ 海流 ひとまたぎならした腕で しなる竿一本釣りっちゃ 任しちょきやっぱり あんた ええ男無事を祈って 柏手(かしわで)...
  • 石蕗の宿 ~2022~

    石蕗の宿 ~2022~

    こんなに愛しい あなたとふたりなんで暮らせぬ 人並に逢うほど 逢うほど深くなる情がおもい人目しのんで 身をまかす明日は散れ散れ 石蕗(つわぶき)の宿つらいだろうと いたわるあなただめよそんなに 泣かせてはいゝのよ いゝのよ私はあなたのまゝにもらす吐息の せつなさよあなたひとりの 石蕗(つわぶき)の宿一冬だけでも あなた...
  • 人生ってイイネ!

    人生ってイイネ!

    人生一度を 言い訳に笑顔と涙 繰り返し 生きている今の私追い詰められた子猫のように出口見えずに ただ泣いているでもね 誰かが いつかは 気づいてくれる光は ここだよ 大丈夫心の中 明日が瞬きしてるいいね、、、いいね、、、人生ってイイネ!愛だの恋だの 言いながら出逢いと別れ 糸車 いつまで紡ぐものなのさみしさ消せる魔法が...
  • 千羽鶴

    千羽鶴

    一日一羽ずつ 折り鶴折れば三年経てば 千羽鶴準急も停まらない 小さな駅の小さな町の ひとり暮らしですあなたを遠く 思えるまでにはたくさんの時間が かかりそうです千羽鶴 千羽鶴この千羽鶴 折り終わる頃には寂しさも 切なさも 恋しさもセピア色に 変わっているでしょうか温もり少しだけ 感じるだけの西日に縋(すが)る ガラス窓...
  • にがい酒

    にがい酒

    冷でいいから おじさん注いでついでにあたしの 話を聴いてあヽあいつったらさ 別れも告げずいま出た船に 乗ったのよそうよ…おじさん このお酒明日は独りの にがい酒海の男は 情なしかもめその気もないのに くち先ばかりあヽあいつったらさ 口惜しいけれどやっぱり駄目よ 憎めないそうよ…おじさん このお酒飲んで酔えない にがい酒...
  • 無花果

    無花果

    時に愛はガラスのよう触れれば割れて心に刺さる迷子になった夢たちも涙に濡れて芽吹いてく教えて 聞かせて私がここにいる その訳を枯れ葉舞い散る この空にいくつの想い 飛んでいる咲いて咲いて咲いていつの日かきっと会いに行く人の心はヒカリのよう瞬きすればまた消えている愛を紡ぐこの場所であなたの足跡追うように教えて 聞かせて私が...
  • 手のひらの海

    手のひらの海

    やっと 母さんと 呼べたのに もう声は届かないあなたの 細い指先 そっと 握り諦めた幼い私を 置いたまま その手で 掴んだ幸せが手のひらを こぼれて 涙の海になる幸せでしたか 母さん女として 妻として 母として幸せだったと 言ってね 母さん私も 大人に なりましたあの日 母さんと ひとつずつ 分け合った桜貝あれから ず...
  • ありがとうの代わりに

    ありがとうの代わりに

    悲しい時 つらい時あなたがそばに いてくれたくじけそうに なった時私の手を取って 歩いてくれた私に出来ることは 歌うことしかないからあなたのために あなただけのために歌い続けたい ずっとSha la la la… ありがとうの代わりに目を閉じれば いつだってあなたがそばに いてくれた逃げ出したく なった時私を抱きしめて...
  • 恋鏡

    恋鏡

    約束の時間も とっくに過ぎて電話の一つも くれなくてもうこれっきりと 言い聞かせながら鏡に向かって 落とす未練重ねた時間の 長さだけ重ねた体の 重さだけあなたの嘘が 嘘がわかる心が映る 恋鏡最初からわかって いたことなのに添えない運命(さだめ)が 哀しくてなぜシャツの裾を 握りしめてみても二人の縁(えにし)は 結べない...